トラピスト修道会
トレ フォンターネ修道院レポート
(リキュール造り)
トラピスト修道会・トレ フォンターネ修道院は、ローマは南、アックエ・サルヴィエ( Viale Acque Salvie )にあります。ローマ中心部の近郊にありますが、緑豊かな静かな土地にあります。Tre Fontane は3つの噴水を意味し、聖パウロが由来します。 カルロ・マーニョの門、および特産品店は開放されていますが、修道院中庭や工房は一般公開されていません。今回はナルディ博士とともに、修道院内に入って工房を見学させていただきました。
本ページでは、トラピスト修道会・トレ フォンターネ修道院の酒造工房でのユーカリのリキュール造りをご紹介いたします。この修道院では非常に珍しく、健康的なリキュール製造がされていて、何十年も愛用されている方や各地の方々がこれらのリキュールを求めて来られています。修道院内の酒造工房は製造過程が手作業のため、小さくコンパクトです。
その昔、リキュールは薬酒としての性格が強く、植物をアルコールを漬け込み、しっかりと植物エキスを溶け込ませることがリキュール製造の原点でした。今日、リキュール製造はその役割は薄れて、アルコールにエッセンスや色素を追加しただけの簡易で飲みやすい嗜好品としての意味合いが強いものが多数ですが、トラピスト修道会・トレ フォンターネ修道院を含め、Ai Monasteri やその関係修道院では今もなお昔ながらの製法で、植物エキスの詰まった、植物の自然の力を生かせた伝統的で素晴らしいリキュールが造られています。
【 参考:グラッパのお話・リキュールのお話 】
ユーカリの葉の収穫
原材料にはユーカリの葉が使われ、収穫は秋から冬にかけて行われます。修道士たちがユーカリの葉を一枚ずつ確認し、手作業で収穫します。また、ユーカリの木を育てるために種は収穫します。
ユーカリの葉の乾燥・エキス抽出
収穫されたユーカリの葉は一旦乾燥させます。乾燥させたら大きな容器にその葉を入れ、アルコールを加えます。加えるアルコールの度数は重要で、高すぎると葉に悪い影響を与えてしまいうので、エキスを抽出する適度なアルコールを加えます。しばらくの間寝かし、しっかりとエキスが抽出できたらユーカリの葉を取り除きます。
リキュールの熟成・調整
そのまま1カ月間寝かせます。その後、容器を変えながら更に寝かし、エキスを凝縮していきます。一ヶ月程度寝かした後、寝かす前のエキスと合わせるなど、独自の方法でアルコールを調整していきます。そして更に最低でも二ヶ月程度寝かせ、40°程度のリキュールに仕上げます。
リキュールのボトル詰め
瓶詰する前に、一度フィルターを通します。このフィルターも独特のもので、フィルターが強すぎるとせっかく抽出した必要なエキスも取ってしまうので、混ざりものをとる程度のフィルターを使用します。ボトル詰めの機器は圧力を使ったもので、手作業でボトル詰めしてきます。そしてラベルを貼ります。
こうしてできたリキュールは、一連の作業をほぼ手作業で造られた、修道士達の気持のこもったリキュールです。何十年もの間、愛飲されている方をはじめ、ユーカリの殺菌作用を利用し、肌に塗って皮膚病の予防などにも使う方もいるそうです。残念ながら日本では手に入れることはできませんが、もしローマに行くことがあれば、トラピスト修道会・トレ フォンターネ修道院の特産品店に行ってみてはいかがでしょうか。